二本。
寄り添うように、ちょこんと寝そべる二本。
先端が丸みを帯びて、肉厚もまだ残っている。二本の横筋が入った、そんな――
「……、え」
理解する前に視界が遮断された。
僕の目ではなく、物を照らす光を。
突然のことで一瞬呆けてしまったが、すぐに気づいた。
――蓋を、閉められた。
「――、あ、や、な、なに!」
暗さと狭さ、桐の箱は幼い僕を恐怖のどん底に突き落とすには十分だった。
「あけ、あけてっ、ねえ……!」
手を伸ばせば蓋の裏側を押せるが――何か重いものでも乗っているのかビクともしなかった。
「やだっ、あけ……っ、ねえ、ねえっ」
叫んだ。
「やだぁ、やだよぅ……!あけ、あけてっ」
泣きながら叫んだ。


