「いいんですか。あたしはこの条件をそちらが呑まなければ、渉くんを預かりませんが?ああ、謝礼金のプラス百万に関しても、お父さんたちが払ってくださいね。ありますよね、それぐらいは」


「いいからっ、でてっ、でてけっ、このっ!」


叫ぶ中、痰でも喉に絡まったか、背中を丸めて咳をし始めた義父を貞夫は労った。


背中を撫でる行為だが、体裁上こうしたと言わんばかりに貞夫の表情は嫌々ながらがついている。


「お義父さん……、春夏秋冬さんに預かってもらうんですから」


預かってもらうこちらがどうこう言えたものじゃないと――あくまでも、貞夫側にはこれ以上のマイナスはない第三者視点でそんなことが言えた。


何よりも、ここで渉の話がなかったことにされては困る。