「責任だと……!渉は私たちの子ではない!養育費を払うのは親の役目だろうが……!」
「そうなればますますおかしいですね。お父さんの理屈が正しければ、当然、明子も払うべきなのに何でかしら?
仮にも『お金がなくて払えない』というならば、その明子の責任放棄は“明子の親たるあなたが果たすべきじゃなくて”?
お父さんの言い分は、『子の責任は親にある』だけど、確かに渉くんはあなたたちにしたら孫、子ではないわね。
けど、あなたの子は誰かしら?勘当したあたしはともかくとして、あなたにはもう一人娘がいたんじゃなくて?
その娘が『払いたくない』――あらやだ、ふふ、こんな言い方ではさも、渉くんよりお金なひどい母親になってしまいますから、ええ、そうそう『払えない』っていう一文無しの貧乏娘の肩代わりぐらいしてあげたらどうですか。
あたし、何かおかしなこと言ってますでしょうか?ねえ、貞夫さん、どう思う?」


