「ああ、そうだな。お酒は祝いの席にこそ美味いもの。甘酒だって、そんな時に飲まれるし――何だろうな、私も今、無性に乾杯がしたくなる」
「僕もしたいな、乾杯。めでたい気持ちでいっぱいなんだ」
「じゃあ、何に乾杯しましょうかね」
「渉が長生きできることでいいんじゃないのか」
「えっと、それはもう、たくさん祝ったような」
中指の呪いがなくなった時に乾杯したわけでもないが、お腹いっぱいになるほどの祝福(おめでとう)はされてきた。
「もうちょっと別なこと、ありませんか」
「なら、渉くん並びに五十鈴さんの快気祝いはどうだ?」
「おお、それだ。渉も元気になったみたいだしな」
「でも、藤馬さんはまだ……」


