「あ、なんだ、ビンゾコ。つまみ買ってきたのか」
無能のくせに気が利くじゃねえかと、五十鈴さんとの言い争いを済ませた藤馬さんが手を伸ばすも、さざめきさんは持っていたビニール袋を五十鈴さんに渡す。
「おつまみ100%。――内訳、酢イカ90%。わらびもち10%」
隣に座る五十鈴さんにビニールの中身を見せてもらえば、真空パック詰めされた酢イカの山。そうして何故か、一つだけわらびもちがあった。
「駄菓子かよっ。もっと高いもん買ってこいや」
とか言いつつ、一番先に酢イカを口に入れたのは藤馬さんだったりする。
くちゃくちゃと音を立てていたのに五十鈴さんが行儀悪いと言っても素知らぬ顔で、お酒を自身のお猪口に注いでいた。


