親しき仲にも礼儀ありな人にまた挨拶を繰り返した。
「さざめきさんも、忙しいのに来てくれてありがとうございます」
言いながら、五十鈴さんに言い忘れていたと思えど、彼女は今藤馬さんへの説教で忙しいみたいなので保留にしておく。
こうして三人がここにいるのは僕が招いたからだった。
お酒の数は言わずもがな、藤馬さんは最初から家にいたのですんなりと誘い、一人で飲むには多いだろうと、五十鈴さんとさざめきさんを呼んだ。
二人とも忙しいからどうだろうと思ったが、結果はご覧のとおり。
三人分用意したお猪口は無駄にはならなかったと、さざめきさんに一つ渡した。
「渉くんには、これだ」
そうして僕は、甘酒とグラスを渡される。


