中指斬残、捌断ち儀



こんばんはと挨拶をかければ、こんばんは100%とでも言ってくれるさざめきさんなのだけども。


「うぐっ100%」


「え」


「内訳、黒だった50%。レースだった50%」


何を言っているんだと思った僕だけど、後ろの喧騒が一気に静まり返った。


見てみれば、五十鈴さんの顔が真っ赤になり、藤馬さんは今にも噛みつきそうな勢いで鮫歯立てていて――そっかと合点がいった。


高低差、というものがある。


参道と建物の差などそれほどないのだろうが、五十鈴さんは段差に座っていた。


その姿勢がいけなくて、足にうっすらと隙間を開けていたのだろう。足首まである長い布がスカートまで隠しているからと安心していたのに、藤馬さんの無作法。


月夜が電気要らずの空間にしてくれているから、視界は良好で、色つき眼鏡でも分かる色を彼は、つまりその……