「何をどう着ようが当人の自由だろうが……!」
「なら、何をどう見ようがそいつの自由だろうよ!」
「それは……って、そもそも、お前が私の服を引っ剥がすから……!」
「なんでより卑猥な感じに仕立ててんだよっ」
捲るが脱がすで、脱がすが引っ剥がす。どう考えても藤馬さんに非難が浴びせられる表現ばかりか。
でも、五十鈴さんの足は綺麗に治っていたから痕も残らなくて良かったと思いつつ……どうして妙にドキドキしてしまうのだろう。
喧嘩するほど何とやらの夫婦喧嘩を聞く子供がごとく、ほとぼりが冷めるまで見てみぬふりをしていたわけだが。
「あ、さざめきさん」
いつからいたのか、参道の真ん中にさざめきさんがいた。


