中指斬残、捌断ち儀



フクロウ姿で飛んできて、着地は人間の姿なんて、狙ってやっているとしたらいい演出家になれると思う。


「こんばんは、五十鈴さん」


「ああ。今日は暑くもなく寒くもなく、いい日だな。飛んでて気持ち良かった」


羽ばたき疲れたのか、腕を回した五十鈴さんを出迎える。


座布団はないけど、特に気にしない五十鈴さんは僕の隣に座る。


「あーあ、奥さまはもう全快かよ。ババア度で言えば、てめえのが上なのに、いいなぁ。死神の体は楽でよぅ」


節々の関節の痛みを訴えるおじさん化した藤馬さんの嫌味だけど、五十鈴さんは気にも止めていないようだった。


「いや、これでもまだ感覚が鈍くてな。昨晩、鼠を取ろうとしたら、逃がしてしまった」