「この、守銭奴が!私らからお前にやる金などない!」
「お金ならあるじゃないですかぁ。勤続五十年のお父さんなら、さぞやたくさんの年金を頂いているでしょうし、退職金だって雀の涙だなんて言わないですよね?
お母さんに至っても、結婚してから仕事はやめたみたいだけど、ええと、第三号被保険者だったかしら?夫がサラリーマンの場合に妻が入れる国民年金だけど、あれでそれなりには貰っているでしょうし。
明子に関しても、自分の貯金がまったくゼロなわけもないわよねぇ。共働きで共有貯金に入れていると言っても、ちゃっかり自分名義の通帳にも入れていそうですしねぇ」


