「雑然ねぇ、まあ確かに、持ち主の性格のまんまだな」
僕よりも先にあの部屋に入った人は思い出して、嫌みらしく笑う。
「ガキの玩具箱だ、楽しいものばかりで詰まっている。幸せになれる天然石だとか、いつ着るんだか分からない華美な洋服、家具も一級品で、あげくには酒の山。さぞかしあの中はババアの夢で溢れていただろうよぅ。
天然石を敷き詰めて幸せだって笑い、似合わねえ服でも似合うと自身の美を信じ、価値ある自身に見合う価値が高い家具類に囲まれ、酒に溺れて夢へとダイブ。
シシッ、今も昔も、あのババアは現実を生きちゃいねえなぁ。逃避ばっかりしていたせいで、頼みの綱(見合う幸せ)を見間違えた。気狂いになんのは時間の問題だったろうな、どうせ」


