「……」
「人の厚意は素直に受け取りなさい。君は受け取れる権利があるし、僕にここまで言わせておいて、まさか断るだなんてしてほしくないな」
「断れない空気にしないでくださいよ……」
差し出されたさざめきさんの手を握った。
受けますの意は力に込めて、手を掴む。
「よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。――というわけでだ」
「え」
ぐいっと腕を引かれた。
何を、と思えば人気がない裏路地に連れていかれる。
強い引きにつんのめり、あわや転びそうになったが、そこはさざめきさんが支えてくれた。
「いきなり、なに、を……」
するんですかと続きが出なかったのは、目に映る光景が様変わりしていたからだった。


