中指斬残、捌断ち儀



呪いなどきっかけの一つに過ぎない。だからこそ、『それがどうした』と重要視されていなかったんだ。


「いじわるをしたかったのかもしれません……。呪いが無くなったと言われた相手の反応が見たかった、だなんて、大方の予想ながらあの人は焦るなり何なり、『また引き取らなきゃいけないのか』とあたふたするかなと心の隅で思っていましたが」


苦笑が続く。

まさか、あんな返しをされるだなんて、いじわるした罰があたったんだなとさえ思った。


「『それが、どうしたんだ』って言われちゃいました」


繰り返す。
言葉でも、頭でも。


また一緒に住むかと呪い無くなった僕に言おうとするあの人に、『いえ、今は最愛の家族がいますから』――そちらには行かないと、幸せであるのを見せつけたかった。