中指斬残、捌断ち儀



着崩した服装からしてもう既に『柄じゃない』に当てはまるのだけど、本題はこれからだ。


「『それが、どうした』って言われちゃいました」


「……」


「いや、何が僕にとっての『いい返事』なのかはまったく分からないから、結局、何を聞いてもこんな気持ちになるのでしょうが」


今日、あの人と出会ったのは『呪いが解けた』と報告したかっただけ。期待する返事など持たずに、どんな反応をするのか見てみたかった。


僕を捨てる理由となった呪いが無くなって、あの人は何を思うのか。


「呪いだけのせいじゃないんですよね。離婚も、僕を手放した理由も、まだまだ別にあるんでしょう」


分かってはいたんだ、五歳の時のように真っ直ぐではない現在、そういった『大人の事情』というのは呑み込める。