「心の正当防衛。まるで“分かっていないな”、あの男は」
「それも……やっぱり仕方がないんじゃ」
ないかと、言う声が小さくなる。
きっとあの人は、今の家族のことでいっぱいいっぱいなんだろう。
僕のことがどうでもいいというわけじゃない――とか信じてみたいけど、あの台詞があればなぁと苦笑してしまう。
「さざめきさん。ちょっと、柄にもないことを話してもいいですか」
「良いよ100%。――内訳、きちんと聞く40%。受け止める40%。それでもわたるんラヴ20%」
さざめきさんらしい答え方に甘えることとして、詰め襟部分のフックを外して首もとを緩めた。いい加減、暑苦しくなってきたし、喋りにくいからした行為。汗で蒸れた包帯も取ろうかと思ったが、縄の痕は晒せないかと我慢する。


