中指斬残、捌断ち儀



『さようなら。もう会いません』


反芻された言葉がどうしてこうも突っかかるのか、僕は何か間違ったことをしたのかと貞夫は自問した。


自問した結果が、『していない』だ。


『していない』にする言い訳があるのだから、擁護でき、甘い考えしか出なかったのだ。


妻のため、娘のため。今日、自分がした功績は誉められることであろう。あの一連のやり取りがなければ、また我が家――家族は不憫な思いをすると思った。


養育費だなんて、要は“負債”と違わないだろう?ない方が喜ばしいし、渉側が自ら『要らない』と言ってきたのだから丸く収まり、こちらは強制していない、むしろ時間を裂いてまで会いに来たのだから感謝されてもいいぐらいだ。もう会わないのだって、それでいいじゃないか。利益しかない、家族のために繋がる大きな利益しかないのに――