中指斬残、捌断ち儀



続けて通路側に座っていた付添人が、伝票を手に取り、レジまで進んだ。


渉もその後に続くのかと思いきや。


「さようなら。もう会いません」


端的に、けれども胸を抉るような言葉を残してから、渉は背を向けた。


店員のありがとうございましたの声に、出ていく二人の背中。閉まる扉の鐘がちりんと鳴ったあとに、初めて貞夫は息が吸えた気がした。


呆然と、先ほどの言葉を――いいや、一連のやり取りが白昼夢のように思えてしまう。


テーブルに残ったアイスコーヒー。一番に飲んでいたのは貞夫で、付添人の男は結局飲まずに帰った。


使われなかったガムシロップとミルク。溶けた氷がコーヒーの上に水として乗り二層となりつつある。