「い、や……、でも高校の学費……明子から貰うなりした方が」
「倹約家なんですよ、僕」
頼らなくても生きていけますから、と渉はあくまでも微笑むだけだった。
それでも何か企んでいるのかと勘繰る貞夫であったが。
「その代わりに、今の家族を大事にしてくださいね」
企み(本意)を知ったあと、『ああ、やはりいい子だ』と貞夫の緊張が解れていった。
きっと知らない家族ですらも渉は貞夫の家族だからこそ祝福してくれているんだろう。そう感じた貞夫は涙ぐむように鼻をすすり、ありがとうなと下げ損なった頭を俯かせた。
「ほんと、お前は優しい子だよ。昔からずっと。僕たちがいなくても、しっかりやっていけるんだな。偉いぞ、渉」


