中指斬残、捌断ち儀



最近は、となれば前に何かあったのかと探りを入れそうになったが、変につついて渉との仲を深めるのは良くないかと制止する。


どうにもいきなり会おうと言ってきた渉が、『何かを企んでいるのではないか』と考えてしまう。


実際渉は、今の家族を脅かす存在であろう。妻は貞夫の離婚歴や子がいたことを知っているが、その間にいる娘は渉のことを知らない。今更ながらに、お前にはお兄ちゃんがいるんだとも、妻にやっぱり前の子を引き取りたいと言えるわけもないし、言う気もなかった。


本当ならば、渉と会うことも今の家族のために控えたいものだったが、相手の機嫌を損ねて取り返しのつかないことをされるのを怖がった。


例えばの話、そちらが会いに来ないこちらが会いに行くなどと言った押し掛けがあれば、今の妻子があまりにも可哀想に思えた。