ただ、今日。
6月17日のスケジュール帳には大きな×印がつけられていた。
日曜日だろうとも、休日出勤を余儀なくされていたのだが、三日前、ある電話が入ったのだ。
相手は『持田』と名乗る、人の良さそうな声を出す男から。
言付けを預かった持田から聞いたことに、軽く目眩を覚えたのはまだ記憶に新しい。
どうせなら断っても良かったが、“相手が相手であり断ることができないし、こちらとしても話したいことはあった”。
日曜日の予定を別日に移動させ、方々に連絡を入れて何とか空いた予定を使って――貞夫は、県外へと赴いていた。
慣れない土地ながらも、予定時刻に間に合ったのは前日に前もって指定された喫茶店の住所を調べたからだ。その段取りの良さが貞夫の時間をルーズとなさないわけとなろう。


