中指斬残、捌断ち儀



「六ヵ所」


椅子から立ち上がり、こちらに近づく足音と声。


「腹部から胸部にかけての打撲痕の数」


真横に立つ気配から冷気を感じるようだった。何かしらの行動を起こそうにも、体から力が抜けて、四肢が思うように動かないし、声帯とて機能しなくなってきた。


「十二ヶ所。擦過傷の数」


「て、め……」


「頬部及び口腔内の挫創。これら全て、外的な暴力によるものであると診断した」


誰がやったかなんて、やった人こそがよく知っているし、なぜ藤馬が動けないのかも当人のみぞ知ること。


「く、そ……」


医者のくせに毒かと、注射器が捨てられたゴミ箱を目端で捉えた藤馬。


何とか開けた瞼にはさざめきも映っており、その手には黒い筒状の物が握られている。