「くそよええガキのトラウマなんざ、知るかよ。不眠?嘔吐?別に死にやしねえだろうが、させとけよ。夜泣きの赤ん坊じゃあるまいし、いちいち気にかけなきゃなんねえ歳か、あいつは。
弱い奴はただひたすらにビービー泣いてりゃいいんだよ」
「弱くなどないよ、渉くんは」
「弱いだろうが。終わったことを引きずりやがって」
「でも、泣いていない」
「……」
「もしかしたら、僕が見ていない場所で泣いているかもしれないが、それでも周りに『何とかして』だなんて助けを求めたりはしない。
逆に、五十鈴さんやお前のことをずっと気にかけていたし。果ては、僕に向かって治療代の話やらしてきたり、まったく」
“もっと泣いてもいいのに”――
言葉がないため息のみなのに、そう再生されてしまう。


