中指斬残、捌断ち儀



ピアスがつけられた耳朶を触るさざめきは、珍しく表情を変えていた。


「やっぱり――“慣れちゃいけないな、人として”」


呆れたような含み笑い。それに浴びせられたのは、藤馬の嘲笑だった。


「人として、ねぇ。“産まれた場所を間違えたくせに、人面してんなよ”」


「したくもなる。この世に産まれたんだから」


例えそれが、間違いだったとしても。


「どいつもこいつも、化け物のくせして、やれ人に優しくだ、やれ人を救うだ。無力なてめえはさておき、力ある奴まで人面しようとする意味が分からねえよ」


藤馬の『どいつもこいつも』が誰を差しているのか、さざめきにとっては楽に連想できる。


文脈からして、『自分たちと同じ』――『産まれる場所を間違えた人』なわけだが。