中指斬残、捌断ち儀



「出さないよ。僕はもう、誰かを愛したりはしないから」


投げ返された枕を藤馬は片手で受け止めようとしたが、上手く掴めなかった。


まだ本調子じゃないかと右手で枕を頭上まで手繰り寄せて、頭を乗せる。


「てめえのが不能かよ」


「健康体だが、精神面は折れているかもしれない」


語るは半永久。
膨大な時の流れの中、何を学んできたなど想像に難くない。


百年生きればいい方の人間の中に紛れ込んだ異端。倒れていくドミノを遠くから眺めている。


「世の中、お前みたいな奴ばかりなら、こんな思いもしないのに」


「俺は死んでも何とも思わねえってか。医者として、どーよそれ」


「医者だからこそ、誰かの死は多く経験するものだ。――ただ、けど」