中指斬残、捌断ち儀



「――、なるほど」


振り向き様に翻る白衣と、耳のピアス。


「“そうなりたくないから、やらないんだな”」


医者の定位置たる椅子に腰かけたさざめきが、足を組み、書き物を始める。


「欲しいものを手にいれた後、『こんなものか』と幻滅してしまうのは無理ない話。欲しい欲しいと理想を羨望するのならば尚更、理想と現実は違うからな。

“捨ててもいい存在”と思いたくはないか」


手にいれた瞬間に幻滅するならば、いっそ手にいれない方がいい時もある。


己が理想のままなれば、ずっと恋い焦がれていられるから――


「はあ?何を的外れな。いっそ、今。松葉杖ついてたあいつを襲うか。寝心地わりぃベッドだが、使えるには使えるだろ」