「何で、お前。五十鈴さんに手を出していないんだ」
おざなりになっていた話を戻された。
「出してんだろうが。暇ありゃ、あの女にちょっかいかけに行ってるっつーの」
「お前は小学生だかの子供ではないだろうに」
手を出していないの心意が伝わっていないわけがないと、さざめきが注射針を抜き、その上からガーゼを押し当てた。
続けざまに藤馬に、ここを押さえていろと置く親指の代替を指示する。
「横暴、自己中心的。自身の得しか考えずに、やりたいことしかやらない上に、やれる力を持つお前が、未だに五十鈴さんと“そこ止まり”なのが疑問だった。
『バックからヒーヒー言わせる』だの八年前から言っていたお前の欲望が、“叶わないわけでもないのに”」
白いビニールの端がはみ出る『医療廃棄物』と書かれた蓋つきのゴミ箱に、注射器が捨てられた。


