中指斬残、捌断ち儀



藤馬が五十鈴と出会った日、それはさざめきが初めて五十鈴と邂逅した日でもあった。


だとすれば、さざめきとて五十鈴といつ出会ったを省みれば藤馬と同じ答えが出るはずなのだが。


「八年、だな」


ガキと出会う一年前の話ならば、そうなると藤馬は言ってみせた。


藤馬が言ったことにさざめきは「そうか」と茶色い小瓶と使い捨ての注射器を棚から取り出していた。


「八年――僕からしてみたら年月に長いも早いも感じないし、五十鈴さんとて僕に及ばずとも“年を取った”という気にもならない時の流れだが」


お前はどうだろうなと、注射筒に液体を溜めていくさざめきに、藤馬は口を開かなかった。


答える気はない通りの姿勢にしても、さざめきが何を言いたいのか計りかねる。適当な言葉を出せば、揚げ足でも取られるんじゃないかと出方を伺った。