中指斬残、捌断ち儀



『なら、働いてから』と返せば、『いつ働けるか分からないもの』とうやむやな返事をされて、お金を出すことを渋る明子に貞夫はもういいと呆れ返ってしまった。


『いつ働けるか』ではなく、働く気がないだけだろうとは心内を覗かずとも分かった。


今までは子育て貯金――進学とかを考えての共働きだったため、一番お金がかかる子供がいなくなった今、明子は今まで貯めた金でも、両親の年金でも暮らしていくつもりなんだろう。


渉への愛情はどこにいったと、やはり貞夫は自身を棚上げで明子を責めていたが。


「何か……、不満でも?」


養育費の話を持ち出すのだから、喜美子が次に言う台詞を悟ってもなお、貞夫は聞いた。