一通り話し終えても、山村はポカンとした顔で黙ったままだった。
せっかく教えてあげたのだから、もっとありがたがったらどうなの。
「ごめんなさい。余計なお節介だったみたいですね」
私がしびれを切らし、そう告げる。
すると山村は焦ったように手を振った。
「いえいえっ! とんでもない! 貴重な情報をありがとうございます!」
そう思っているのなら、最初からそう反応してくれればいいのに。
しおらしく見えるように作った表情が崩れてしまいそうだ。
「いずれわかることですから、貴重というほどではないんです」
「いやいや。前任者が倒れてほとんど引き継ぎなしで担当になったので、そういう情報は本当に助かりますよ」
「お役に立てて何よりです」
でも、別にあんたのために教えたわけじゃないから。
早く私から離れて主任のところに行ってほしかっただけだから。
「あ。でも、それって」
「はい?」
山村は申し訳なさそうに顔を引きつらせる。
「いえ。すみません。何でもないです」
「ええ? 気になるじゃないですか。教えてください」
私が詰め寄ると、山村は信じられない言葉を口にした。
「僕を騙してるってことは……ないですよね?」
……教えて損した。
もう二度と親切になんてしてやらない。
彼の言い分はわかる。
私が原口を騙して気持ちを弄んでいたから、自分も同じように扱うのではないかと疑っているのだ。



