席へは戻らず、再び部屋の外に出て、角にあるスペースに落ち着いた。
同僚や上司たちの目が届かないここなら、もし山村が過去の話を持ち出したり、原口の一件について追求してきても大丈夫だ。
山村は私が話を聞く体勢を整えたのを確認するなり、勢いよく頭を下げた。
「先日はすみませんでした」
彼の口から出た謝罪の言葉に、なぜか胸が震える。
頭が勝手に「つる子、ブスじゃん」という発言についての謝罪を受けたように錯覚をしたのだ。
むろん山村が謝っているのはブス発言のことではなく、この間の説教のことだとは理解している。
けれど、大人になった山村とランドセルを背負って走り回っていた小学生の山村は、私の中では常にシンクロしているし、間違いなく同一人物。
当時から彼に謝ってもらいたいと願っていたが、思わぬ形でそれが叶ってしまった。
もちろん、形だけで、本当の意味で叶ったわけではないが。



