十分に時間を使ってから、座敷へと戻った。
席へと戻る前に、状況を確認しておく。
小柳と堀口さんは今でも二人で語り続けているが、その場に山村はいない。
「ちがうんすよ。その大会で青春の全てを注ぎ込んで、スポーツに悔いなくケリをつけてから勉強に打ち込むんすよ」
「そんなもん? 今は勉強してなくても平気?」
「そりゃあしないよりはした方がいいんでしょうけど、部活が中途半端になって一生悔やむよりはいい人生になると思うっす」
ふたりは堀口さんの息子さんについて話している。
真面目な雰囲気だし、私が水を差して邪魔してはいけない。
どこか割り込めそうな席を探そう。
「弦川さん」
「ひゃあっ!」
突然真横から山村の声がして、私はうっかり間抜けな声を出してしまった。
「すみません、脅かすつもりはなかったんですけど」
「……いえ、大丈夫です」
彼はいつも神出鬼没というか、油断しているよきに限ってすぐ近くに表されるから怖い。
こんなところにいるということは、席を立った私を待ち伏せしていたのだろう。
……迷惑な話だ。
「少しお話、いいですか」
よくない。
関わりたくない。
だけどこの場で嫌だとは言えないから仕方がない。
「……はい」



