しばらく戻りたくないので、ゆっくりメイク直しをする。
鏡に映る人工の美しい顔が、私の誇りだ。
努力で手に入れた、かけがえのない宝物。
山村はまだ、私が小学校時代の同級生であると気付いていない。
そのことが、ものすごく悔しい。
あんなに私を傷つけたくせに、あいつは私のことなんてこれっぽっちも覚えていないのだ。
気付かれたくない。
でも、傷ついた私のことを忘れてほしくない。
忘れられている方が都合がいいのに、それを望まない自分の非理性的な感情が、すごく面倒だ。
この顔も、この生活も、すごく気に入っている。
コンプレックスから解放されて、やっと理想のライフスタイルを手に入れた。
美しいからこそ向けられる周りからの羨望と賞賛の眼差し。
美しいからこそ無条件に与えられる優しさ。
痛みを伴う高額な美容整形やダイエットは、人生をより豊かにするための、ハイリターンな投資だった。
整形をバカにする人もいる。
それは個人の自由だが、「だったらブスだと罵られる苦痛を味わってみろ」と言ってやりたい。



