微笑ましい気持ちで彼と話していたのだが、小柳は急に、ムッと拗ねた顔になった。
「ちょっとあんた。えっと、山中さん」
ビシッと山村を指差す。
「……山村です」
「そうそう、山村さん」
すっかり酔っているようだ。
「小柳くん、人に指を差すのは失礼よ」
私は山村を指差す小柳の手を掴み、手を下ろさせる。
山村に絡むのは構わないけれど、私を挟んでやるのはやめてほしい。
小柳は素直に手を下ろしたが、山村に絡むのはやめない。
「俺たちの弦川さんを口説こうとしてるでしょー?」
「いえ、僕は」
散々堀口さんに絡まれていた山村は、やれやれ、といった感じに苦笑いを浮かべる。
また弦川かと呆れているに違いない。
ざまあみろ。
「いいのよ小柳くん。私、真咲ちゃんは山村くんにあげるって決めたの」
割って入ってきたのは堀口さんだ。
「勝手に決めないで下さいよー。俺、弦川さんがいるから毎日会社に来れるんすよ」
「ふたりがくっついたって、真咲ちゃんが会社を辞めるわけじゃないのよ?」
「それでもモチベーション下がるんすよー」
私と山村を挟んで、酔っぱらい同士が無意味な攻防を繰り広げる。
私は山村なんかとは絶対にくっつかないので、小柳には安心してほしいし、堀口さんにはそろそろ黙っていただきたい。



