「弦川さーん。グラスが空いてるじゃないっすかー」
左隣の小柳が私のグラスに気づき、瓶を差し出してきた。
独特のチャラい話し方で、ドボドボと私のグラスにビールを注ぐ。
勢いよく注がれたビールは荒く泡立ち、グラスの半分が白色の泡で埋まっている。
全然美味しそうには見えないが、誰かさんとは違い、こうして気を使ってくれたことを評価したい。
「ありがとう、小柳くん」
未だに堀口さんのペースから抜けきれない山村に聞こえるように言ってやった。
私の嫌味になど気づいていないようだが、まあそれはいい。
私も小柳のグラスにビールを注ぎ足してやると、彼は嬉しそうにそれを飲んだ。
「あざーっす、うまいっす!」
可愛げのある後輩だ。
学生っぽさは抜けないが、そこは伸び代と判断する。
彼がこれから社会人としてどんな風に成長するのか、私は密かに楽しみにしている。



