山村の答えに、堀口さんは表情をパアッと明るくした。
「だったら! 前向きに、検討してね」
ああ……もうこれ以上薦めないで。
プライベートに巻き込んで本性の半分くらいを知ってしまった彼にとっても迷惑に決まっている。
「僕の気持ちだけではどうにも……ねぇ、弦川さん」
「え?」
ここで私に振っちゃうの?
山村が助けを求めているのは、表情を見ればすぐにわかった。
一生困ってろ、とも思うけれど、私の意思を無視して私とくっつけようとし続けられるのも嫌だ。
私はにっこりと笑顔を作った。
「堀口さーん。山村さんを独り占めしちゃダメですよ」
これ以上山村に余計なことを言われるくらいなら、いっそのこと酔い潰れてくれた方がいい。
近くにあった瓶ビールを彼女のグラスに注ぎ、飲み放題メニューを見せる。
「そろそろお好きな梅酒のロックを頼みましょうか」
「あらまぁ真咲ちゃん。ほんと気が利くわぁ」
山村と目を合わせる。
『ありがとうございます』
『いえいえ』
無言でこんな意思疎通ができたような感覚がして、くすぐったくなった。
ていうか、私のグラスは空いたままなんだけど。
気が利かない男め。
だから彼女ができないんじゃないの?



