「ちょっと、堀口さん!」
慌てて制止するが、彼女はただ無邪気に私を薦める。
「美人だし気が利くし、仕事もできる子よ」
山村は困ったように「ははは」と笑い、曖昧に受け流している。
……それはそれで納得いかない。
私はお世辞ではなく美人だし気が利くし仕事もできるのだ。
ここは「僕にはもったいないですよ」と言うところである。
私の嘘つきな性格や男を誑して遊んでいることを知ってるからといって、社交辞令を忘れるなんて二流のすることだ。
私は腹が立って、グラスのビールを飲み干す。
「あなたなら年も近いし誠実そうだし、お似合いだと思うのよぉ」
山村は「ははは」と笑顔だけはキープしたまま、堀口さんのグラスにビールを注ぎ足す。
私のグラスも空いているのだが、堀口さんにやり込められて私のグラスには気づかない。
いい気味だ。このままずっと困っていればいい。
「濁してばかりね。すでにお付き合いしている人がいるの?」
「いいえ。残念ながら、いません」
……ふーん。
いないんだ。ふーん。



