「息子はね、今年は受験生だっていうのに、まだ部活ばっかりやってるのよー。大して強くもないのにさー」
酒を飲むとおしゃべりに拍車のかかる堀口さんに「そうなんですか」と相打ち。
それと同時に、メーカーがいよいよ動き始めたのを確認。
私は自分のバッグからポーチを取り出し、逃走の準備を進めておく。
さぁ、山村さん。
いつでも来るがいいわ。
逃げる準備は万全だ。
挑むような気持ちで彼を見ると、バッチリ目が合ってしまった。
……しまった。
一度目を逸らし、もう一度彼に目を向けて見る。
再びバッチリ目が合ってしまった。
もう嫌な予感しかしない。
ポーチを握りしめていつでも立てるよう体勢を整えるが、山村は私から視線を外さない。
嫌な予感は的中した。
山村が私と目を合わせたまま、逸らしてくれない。
逃がさないとばかりに、こちらへ向かって来てしまったのだ。



