「男と待ち合わせてお酒飲んだよね?」
それも見ていたのなら、もう下手な嘘は通用しない。
私が彼の前で演じていた“真咲ちゃん”は、偶像と化した。
「俺たち、別に付き合ってるわけじゃないけど……俺は真剣なんだ」
だから何?
付き合ってもいないのに、自分が真剣だからって、どうして男と会ったことをとやかく言われなきゃならないの。
面倒だが仕方がない。
申し訳ないけれど、彼には徹底的に悪者になってもらうことに決めた。
ここは久しぶりに、“女の武器”を使わせていただくことにしよう。
私は鼻で軽く息を吸って目頭に力を込めた。
間もなく私の瞳は潤う。
原口の怒りの表情が、ふたたび焦りに変わる。



