「原口さん。私を尾けたんですね?」
原口が視線を逸らす。
やはり彼は私を尾けていたのだ。
私は脅しの意味でコンビニの方へ2歩後退した。
社会的に抹殺されたくなければ、早く私に謝罪しここを立ち去るべし。
「待って!」
自分の罪を認識している彼が、焦って私を呼び止める。
「俺はただ、あの日俺と別れたあとのことを聞きたかっただけなんだよ。答えてくれたらすぐに帰るし、もう二度とこんなことしない」
おめでたい男だ。
“二度と”と言ったが、一度でもこんなことをした彼に再びチャンスがあるとでも思っている。
質問に答えれば満足だと言うのなら、答えてやろうじゃない。
「原口さんと別れたあとは、自宅に帰りました。母がケーキを焼いてくれたからって、お伝えしたと思いますけど」
私がそう答えると、原口が食い気味に叫ぶ。
「嘘だ! 真咲ちゃん、渋谷で電車を降りたよね?」
まさか、この男。
あの日も私を尾けていたのか。



