「真咲ちゃん」
そこに立っていたのは、誕生日を一緒に過ごした男のうちの最初の一人、原口だった。
息が止まるかと思った。
「ビックリしたぁ……。原口さん、どうしたんですか。こんなところで」
彼の住まいはもっと千葉寄りだったはず。
それなのに、どうしてこんな時間にこんなところにいるのだろう。
スーツだし、ビジネスバッグを持っている。
仕事でこちらの方に来ていた可能性もあるが、私の感じていた違和感の正体が彼だとしたら、鳥肌どころでは済まない事態である。
私は彼に、住所はもちろん、最寄り駅がどこかさえ伝えていなかったはずだ。
私はかろうじて笑顔を作った。
心臓は嫌にドキドキするし、体はヒヤヒヤするし、そのせいで自分の顔が固い。
原口は険しい顔をしている。
「話があるんだ」
話をするために私を尾けていた?
いつから? どこから?



