「はぁ……私、引っ越そうかな」
私がぽつりと呟くと、あかりが首をかしげた。
「何かあったの?」
心配しているような素振りを見せているつもりのようだが、瞳は輝きに満ち、表情からは期待がうかがえる。
この腹黒女にとって、他人の不幸は蜜なのである。
「新しくうちの担当になった取引先の人が、小学校の時のクラスメイトだったの。しかも近所に住んでるんだよね……」
「すごい偶然! 真咲だって気付いた?」
彼女は私が整形していることを知っている。
「ううん。今のところ大丈夫……だと思いたい」
私はグラスに残っている白ワインを飲み干し、山村に対する過去の恨み辛みをあかりにぶちまけた。
彼に受けた仕打ちや私が受けた傷。
そして私が整形に至り、今の自分があること。
あかりは3割は同情的に、7割は蜜を楽しみながら私の話を聞いていた。



