今日は仕事の後に予定がある。
残業にならないよう、仕事はさっさと片付けてしまおう。
そう意気込み、請求書の発行を猛スピードで進めていた時。
「弦川さん。ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな」
急ぎたい時に限って所長の気まぐれなお願いが来るのは、もはやいつものことだ。
どんな仕事も嫌がらず、笑顔でテキパキ能率的にこなすのが私のポリシーだ。
「何ですか、所長」
「今弦川さんのアドレスに資料を送信したから、軽く校正して30部ずつ印刷してファイリングしてくれない? 外部との会議用だから1部ずつプラスチックのファイルに綴じてね」
自慢の笑顔が引きつりそうになる。
こんな時に限って、ずいぶん手間のかかる雑用を押し付けてくれる。
ていうか校正って全然軽い作業じゃないのに、事務を便利屋みたいに使うのはやめてほしい。
腹は立つけれど、笑顔は決して絶やさない。
「わかりました。いつまでに仕上げればいいですか?」
「13時までにミーティングルームによろしく」
13時まで!?
だったらもっと早く言ってよ!
ファイリングは堀口さんに手伝ってもらうとして、校正作業はすぐに取り掛からないと間に合わない。
私の今日の予定がメチャクチャだ。
「承知しました」
笑顔は決して絶やさない。



