午前10時。
出勤したパートの堀口さんは、私の顔を見るなりこう言った。
「真咲ちゃん、今日は顔色がよくないわね。疲れた顔してるけど、どうしたの?」
しまった。
私としたことが、顔に出してしまっていた。
しかし通勤の一件で疲れているのは事実である。
もう山村と同じ電車には乗りたくない。
会社に来るまでに一日の体力のほとんどを使ってしまった。
でも、堀口さんにこの疲れをを悟らせてしまったのは私のミスだ。
私は気を引き締め、表情はできるだけ緩めた。
「二十日締入金の確認をしていたんですけど、今月はいつもより未収が多くて。これから発行する請求書のことを考えてたから、こんな顔になっちゃったのかもしれません」
「あらあら。だったら私もお手伝い頑張らなくちゃ。何か私にできることはある?」
私を気にかけてくれる彼女の存在がありがたい。
彼女に心配をかけないためにも、山村ごときにペースを乱されてはいけない。



