私はここで、山村に負けないとびきりのスマイルをお見舞いした。
「年がバレちゃうので、秘密ですよ」
あなたにそこまで明かす筋合いはない。
というメッセージを暗に込めて冗談っぽく告げる。
「ははは、それは失礼しました」
山村は私が壁を設けたことを悟り、それ以上私のパーソナリティを探ることはしなかった。
年なんて、そう簡単に教えてたまるか。
同級生だなんてわかったら、どう「つる子」に繋がるかわかったもんじゃない。
山村の中にあるつる子の記憶を刺激するのは危険だ。
不自然にならない程度に避けて、正体を隠し続けなければ。
定刻通りに電車がやって来た。
混んでいる車両に乗ってしまえば、会話どころではなくなる。
完全にではないが、やっと彼から解放されるはずだ。



