本当は遊んでいる男たちに言うのと同じように、「実家暮らしです」と言いたいところだが、私は渋々真実を話す。
「ええ、独り暮らしです」
彼からはすぐに次の質問が飛んでくる。
話の主導権を握れない。
「そうなんですね。独り暮らしは長いんですか?」
普通の女なら、見目麗しい男性が自分に興味津々で、グイグイ距離を詰めてくるこの状況を喜ぶのだろう。
彼は幼い頃から“カッコいい男の子”として生きてきたはずだから、自分がこう振舞って女性に嫌がられたことなどないのかもしれない。
「大学入学の時に実家を出ましたから、長いと言えるかもしれません」
ああ、今すぐ「あなたに話しかけられるのは不快です」という態度を取ってこの場を去ってしまいたい。
そうできないのがもどかしい。
「何年くらいになるんですか?」
この調子でどこまで私のことを探るつもりなのだろう。
いい加減壁を作っておかないと、受け身のままではいつまでもこんなやりとりが続いてしまう。



