翌日の朝礼で、古田所長が冷然と告げた。
「突然のことで驚くだろうが、ワケあって新田が辞めた」
所内は騒然として、質問が飛び交う。
「ワケって何ですか?」
「どうして突然なんですか?」
「俺たち何も聞いてないですよ!」
当然ではあるが、みんな動揺している。
ただし、所員の中でもっとも動揺しているのは私で間違いないだろう。
まるで谷底へ突き落とされたようなショックと絶望で、声すら出ない。
昨日ミーティングルームで話し合った時、彼は退職について何も言わなかった。
辞める素振りなど、まったくなかったのだ。
……本当になかっただろうか?
弱々しく頼りなく、そしてどこか上の空。
予想外の展開にビビって弱っているだけかと思っていたけれど、あの時にはもう戦うことを諦めていたようにも思える。
新田主任は、社会的制裁を受ける前に、私を捨てて逃げたのだ。
「とりあえず、当面の新田の仕事は俺が引き継ぐ。全部は無理だから割り振る分もあるけど、そこはよろしく頼む」
あの古田所長が頼もしく見える。
ずっと新田主任がやっていたから、こうして彼が営業所を仕切っているのを見るのは初めてだ。



