わずかな期間だが、舟木と付き合ってみて、ひとつわかったことがある。
笑える話だが、新田主任はセックスが下手だ。
独りよがりで相手を喜ばせることを知らない。
彼しか男を知らず比較対象がなかった私は、愚かなことに彼から得られる快感を最高値だと思っていた。
だけど舟木がくれた快感は私の経験と想像を遥かに超えるもので、私はイイ女を演じるのに苦労するほど乱されてしまったのだ。
どうしてこんなに感じてしまうのかと口に出したことがあるのだが、舟木は嬉しそうに笑い、特別なことは何もしていないと言った。
本当はこれほどの恍惚感を伴う行為だということを、私は初めて知ったのだ。
私はもう、新田主任に体を委ねるなど考えられない。
たとえ彼が独身だったとしても。
私との関係に優越感を得ていたのは彼も同じだったのかもしれない。
妻子がいても若い女を喜ばせることができる男だという、勘違いで。



