あんなにカッコよく見えていた新田洋輔が、とても小さな人間に見える。
私が今までたっぷり得てきた“妻がいても手を出したくなるほどのイイ女であると実感できる優越感”は、もう二度と得られそうにない。
私は今まで彼を過大評価していたのだと、初めて認識した。
もはや彼は信用できない。
そうなると、事態はますます深刻である。
「戻るわけないでしょ? バレてるんだよ? 主任どうしちゃったの? しっかりしてよ」
私が責めると彼は再びしゅんとして黙ってしまった。
打たれ弱いにもほどがある。
これが社内でも有数の実績を誇る営業の鬼なのだろうか。
その風格と威厳が、見事に崩壊している。
「オリオンに弱味握られたままでいいの? 疑惑を晴らしてあいつを返り討ちにしなきゃ、こっちがやられるんだよ?」
やられてしまったら、私も主任も、奥さんも子供も不幸になる。
私たちは戦わねばならない。
「そうだな」
「とにかく、今後私との関係は一切におわさないこと」
「わかってるよ」
「追及されても認めないこと」
「うん。今後は細心の注意を払う。約束するよ」
今後の自分の業績に関わるのだから、きっとこれ以上下手には振る舞うことはないだろう。
彼には失望させられっぱなしだけれど、話ができたことで少しだけ安心できた。



