山村は私と新田主任の不適切な関係を暴き、取引の武器にしようとしている。
私と主任を貶めて、自分を守ろうとしている。
『俺、もう二度とあんな居た堪れない思いはしたくなくて。あれからはどんなにからかわれたり冷やかされたりしても、自己保身のために他人を犠牲にすることはやめました』
嘘つき。大嘘つき。
『だってつる子、ブスじゃん』
あんたがしようとしていることは、あの時と同じことじゃない。
少しでもほだされた私が大馬鹿だった。
悪いのは不貞を犯した私たちだということは理解している。
どんなにイイ女を演じたって、どんなに相手の家族に配慮していたって、不倫は不倫。
明るみに出れば、社会的制裁は免れない。
だから、全力で避けるのみ。
誰が認めるもんか。
私は山村を睨みつける。
「本当に録音なんかしてあるの?」
私の挑発に、山村は簡単に乗ってきた。
「今日録音した新田さんとの会話、聞いてみる?」
私は大きく頷く。
私の嘘に、新田主任の話との矛盾があってはいけない。
山村はしばらく慣れた手付きでレコーダーを操作し、私に聞こえるよう再生の音量を上げた。



