「確信って……証拠もないのに」
こうなった以上私が上手くやらなくちゃ。
山村にこの事実まで暴かれてしまったら大変なことになる。
私も新田主任も、彼の奥さんと子供も不幸になる。
どう取り繕うか。
どう引っくり返そうか。
考えろ。
頭脳をフル回転させて捻り出せ。
少しでも怯んだら付け込まれる。
「証拠……ね」
山村がポケットに手を突っ込み、何か細長い機械を取り出した。
その機械が何かを察知した瞬間、私の背筋から熱が引いた。
状況は初めから、私の想像以上に悪かったのだ。
「ボイスレコーダー……」
「俺がイズミの担当になってからの商談は、すべてこれに録音してある」
このご時世、言った言わないのトラブルを避けるため、会議や商談などの音声を録音する会社があるのは知っていた。
相手に無許可での録音は通常であれば違法だが、相手に不審があり、その証拠のための録音であれば、合法だ。
つまり、山村はイズミの担当になったときから、新田主任に不審を抱いていたことになる。
「今この会話も、録音させてもらってる」
何ということだ。
私も不審の対象だったとは……。
もう気軽に発言できない。



